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04 |
◆ |
歌とラジオの落差 |
03:22 |
五木
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「中島さんはラジオを随分おやりになったんですよね?もう一時代を画したというか」
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中島
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「はいはい(笑)」
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五木
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「ラジオのイメージと、それから我々の..レコードとか、いろんなものでね、感じてる中島みゆきという人のイメージとの間の落差ていうのが、すごく大きかったような気がするんだけど。どうなんですか?」
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中島
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「ええ。よく言われますね。あのー...自分ではいろんなタイプの歌があると思ってるんですけれども、取りあえずデビューした最初の頃っていうのは、海の者とも山の者ともわからない新人が出てくる時に、一つの看板として..何か、憂いの世界ね。酒と女と涙の世界ってなところから、一つ入口、取っ掛かりがあった方が、それは良いんじゃないかということで、自分も納得の上でですけれども、そういう歌を集中的に発表してきたわけですね。で、その中でも自分では、そういうタイプでは無いって曲も持ってたんですけれども。例えば『時代』みたいな曲も、酒と女と涙の歌ではありませんからね。そういうのもあったんですけれども、それを敢えて混乱を避けるという形で出してきた何年間かあったわけですね。で、そう一つのイメージが出来上がったところで、自分の気持ちの中で...人間いろんな面があるはずだっていうのはあったし、それを一つに固めずに出していきたいというの、自分で決心した時期っていうのがありましてね。ていうのは、涙っぽい歌でヒットしちゃったんですね。ある時期。そこで決断を迫られる時っていうのが、やっぱり、ありまして。“あなたは、この路線でいった方が良い”と。“これ以外のものを出したらがっかりされるだろう”という見方もあったわけですね。そん時に、そう言って突っ走るか。“待てよ。どうしようか”と自分で考えた時に、やっぱりなぁ、メロドラマだけでは、結局、私は...不満だなぁと思いましてね。私は大笑いする時もあるんだっていうことを言ってしまいたかったんですね。で、いきなり大笑いの歌っていうのも何でございましょうってんで、ちょっと毛色の違う方から。しゃべりとかだったら、まぁ、いろんなやり方もできるかなぁと。で...」
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五木
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「そうか。なるほど。歌の世界で、そこん所の形を崩すんじゃなくて..」
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中島
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「しゃべりの方からやってみようと」
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五木
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「それがスゴく効果的だったんですよね?」
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中島
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「あー、当時はね。賛否両論でした。やっぱり」
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五木
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「あっ、やっぱり、“否”もありましたか?」
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中島
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「そういうしゃべり方をした時にね、イメージが崩れたっていう反対意見ももちろんありましたけどね」
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五木
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「でも、僕はねえ、中島さんのその感じ方はスゴく..さっき動物的なっていうお話が、写真の話であったけど、動物的な嗅覚があると思うんだよね。ていうのはね。同じ“憂い”でもね。...純正“憂い”というか(笑)。そういう生一本のような、そういう憂いの時代じゃ全然ないわけですよ。一面ではズッコケるっていうか。そういうものもあってのね。二枚目売りなんでね。その辺、ラジオがあったことが、僕は、スゴく良かったという風に思いますけどね」
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中島
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「はい...」
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