中島みゆき研究所 Miyuki Nakajima Lab
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2023/02/27 更新
中島みゆきスペシャル“時代”
〈1〉[シンガーソングライター&ソングライター]
放送局 bayfm 提 供
放送日 1993年10月25日(月) 時 間 24:00-25:00(55:59)
司 会 大伴良則 出 演 中島みゆき
▽▼:企画名  :トーク/投稿  :リクエスト  :MC  :楽曲  :CM  :欠損/不明 
Tr. Title Time
05 谷川俊太郎「私が歌う理由」 03:09
大伴   「その時、谷川俊太郎さんが課題曲『私が歌う理由(わけ)』ってものを出してですね。それを、みゆきさんが真剣に受け止めてデビューを思い留まったっていう風な逸話が残ってるんです。これホントなんですか?」  
中島   「はい。あの時のフォーク音楽祭にこの『あたし時々おもうの』で出て、谷川俊太郎さんの詩と会わなかったら、あのまんまコレでデビューしてたかもしれないんですよ。

で、この曲を提げて全国大会まで出場が決まって。出場が決まった段階で課題詩というのが出されるんですね。で、結局、自分のオリジナルと2曲持って参加しなきゃなんないんですよ。

で、全国の各地区の人達が一斉にある日突然渡されまして。そん時に私はもう舞い上がってましてね。
この『あたし時々おもうの』で、“あたしは凄いんだ” みたいな(笑)
“これでデビューは確実よ” みたいな。偉くなっちゃってる訳ですよ。

ほんで、舞い上がってる所へ出されたタイトルが『私が歌う理由』、凄い根源的なタイトルだったんですよね」
 
大伴   「アイデンティティーをそのままズバリ言ったようなタイトルですね」  
中島   「何んか、舞い上がって、足元ふわふわになっちゃってて。
“わたしはー、もう全国大会に出るんだからー、偉いんだからー、スターなんだからー” みたいに思ってたら足元をスカッとさらわれたような気がしたの。

“歌う理由(わけ)は何ですか?” と訊かれたようなね。カーっと思っちゃって。“何で歌ってるんだっけ?” と思って。“賞が欲しくて歌ってるんだっけ?” と思って。もう一回、頭っから考え直さないとコレ、何か、危ないんじゃないかな?と思って。

で、一応、この曲で、迷いながらも『あたし時々おもうの』で賞は貰えちゃったんですけども。で、デビューの話があったんですけれども、“ちょっともう一回最初から考え直してみます” って、田舎戻っちゃったんです」
 
大伴   「現在としては、それはもう冷静に語れることだと思うんですけれど。今の今までコレをレコード化されなかったっていうのは、やっぱりそれは強烈な思い出だったっていうか、ショックなことだったわけですよね?」  
中島   「そうですね。言ってみれば自分のスゴくこの、愚かな部分がね、自分に蘇りますからね」  
大伴   「最近そこまで考えてデビューを思い留まるアーティストがいるかどうか、ちょっと疑問ですが(笑)」  
中島   「いやいや(笑)」  
大伴   「僕は、いい話伺ったという気がします」  

中島みゆきをゲストに迎えニューアルバム『時代─Time goes around』を4夜にわたって特集。第1夜は、ソングライター・中島みゆきをテーマに、他アーティストに提供した作品などについて聞いた。

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