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Title |
Time |
33 |
◆ |
ライブで唄うこと |
03:56 |
鈴木
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「みゆきさんは、ご自分のステージを表現するために、ここは欠かせないと思うところはあるんですか?」
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中島
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「ステージですか?」
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鈴木
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「もちろん、バックのバンドとか、そういうね、どうしても必要な物っていうのもありますけど。プロットであったり、プロップス(小道具)であったり」
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中島
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「どうしても、これだけは譲れないっていうことはね。生でちゃんと唄うってことです。テープは出来ない」
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鈴木
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「それは演奏に関しても全部?」
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中島
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「うん。物によってはね、シンセサイザーなんかは、やってやれないことはないんですけれども。テンポが変わっちゃうんですよ。その日によってね。それを、私、メトロノームに合わせて唄うようなのって、どうも好きになれないんですよね。だから、その日の時間の流れみたいなものでやりたいなっていうのがあるんで。だから、ミュージシャンも、そこのところを感じて、その日のテンポでやって欲しいと思うし」
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鈴木
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「じゃあ、例えば、感情に任せて一曲の中でね、テンポがよれてきても、全然、それはそれで..」
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中島
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「うん。そこで、予定ではテンポこれですから、ここに直してって言われたって、それは、そんな器用にはできないっていうかね。いっぺん、かつて試したことがあったんですよ。打ち込み物が多かったナンバーをね、ステージの上にある楽器だけで再現するのは難しいからって、じゃあ、その打ち込み物の入ったテープを流して、それに乗せて演奏して唄えばって。で、やってみたことあったんですけど、ダメでしたね。中島さん機嫌悪かったですね(笑)」
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鈴木
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「機嫌の悪い中島さんって、どういう風になっちゃうんですか?」
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中島
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「いやぁ、どうなりますかね。やっぱり、唄い方が、何か、無機質になるようで嫌だったんです。“もう、これは二度とやらんぞ”と言いましたけどね」
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鈴木
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「ええ。...」
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中島
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「だから、口パクなんかでも嫌です」
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鈴木
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「ああ、そうでしょうねぇ。じゃあ、もうレコードっていうのも、もちろん大切な活動の一つではありますけども、みゆきさんにとっては、やっぱりライブ・パフォーマンスの方に行ってしまうのかな?」
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中島
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「うん。どっちも同じようなもんですよ。スタジオで唄うっていうことも私にとっては、スタジオ・ライブと思ってるから。毎回、歌入れ、何べんか唄って、その都度、その時のライブで録ったもんだと思ってるんで。繋ぎ辛いんですよ、私の」
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鈴木
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「う〜ん。スタッフ泣かせですね」
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中島
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「“1回目に唄ったのと20回目に唄ったのの、あそこの出来が良かったから繋ぎましょう”─“ガチョ〜ン。全然、唄い方が違う”みたいなのが、バレちゃうんですよ」
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鈴木
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「じゃあ、毎回がホントに一発一発の勝負になっていくんですね」
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中島
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「そのライブの、その時そう唄いましたってことで良いと思ってるの」
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鈴木
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「じゃあ、唄った数だけテイクがあって」
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中島
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「テープがいっぱい必要なの。うち(笑)」
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鈴木
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「その選ぶ基準というのもね。難しいものがあると思いますけども。でも、その一発一発に込める気持ちっていうのは、どのトラックにもきっと入ってるんだろうなぁと思うとね」
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中島
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「そうですね。どんどん気持ちがまた変わってっちゃったりするから。途中でご飯食べたらえらい機嫌の良い歌になったりねぇ(笑)。だんだんお腹空いてきて、えらく、何か、惨め〜になってきたりね」
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鈴木
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「そういうのも、あるかもしれないですね(笑)」
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